企業としては、できるだけ給料の高い人から切りたい
所得税・住民税については子ども手当の導入に伴って実施された年少扶養控除の廃止による負担増が2011年から始まっています。また、2013年1月からは復興特別所得税もスタートした。
負担が増えるのはこれだけではないです。社会保険料も着々と上昇しています。厚生年金保険の自己負担率は2017年まで毎年0・177%ずつアップ。健康保険料も上昇が加速しています。健康保険料は会社や地域によっても違うが、中小企業の加入する協会けんぽの全国平均の例で見ると、2010年2月までの8・2%から2012年3月以降には10・0%まで引き上げられた。
これらの増税と社会保険料引き上げがどれだけ家計にインパクトを与えるのか?
2011年から2016年にかけて予定されている負担増をすべて合計した場合、年間どの程度の負担増になるかについてシミュレーションを行った。ここでは、一般的な支出の家計について@増税(所得税・住民税)、A復興増税、B社会保険料負担増、C消費税負担増、D子ども手当の収入減、E地球温暖化対策のための税負担、の6つの負担増を合計。夫40歳、妻38歳で子どもは小学生、収入は夫のみの家庭を想定しています。
●年収500万円家庭
子どもなし 17・0万円 子ども1人 25・7万円 子ども2人 31・5万円
●年収700万円家庭
子どもなし 25・7万円 子ども1人 31・5万円 子ども2人 37・3万円
●年収900万円家庭
子どもなし 30・9万円 子ども1人 42・7万円 子ども2人 42・5万円
この数字を見て背筋が冷たくなったのではないだろうか。
年収700万円で子ども2人のケースでは、年間約37万円もの負担増です。月あたり3万円強も負担が増えては、家計が悲鳴を上げるのは目に見えています。内訳を見ると、@増税 4・7万円、A復興増税の0・6万円、B社会保険料負担増 9・5万円、C消費税負担増 15・2万円、D子ども手当収入減 7・2万円、E地球温暖化のための税負担 0・1万円、となっています。
最もウエートが高いのが、消費税負担増の15・2万円です。消費税が上がるといわれてもイメージがわかなかったかもしれませんが、この金額を見ればその重さが実感できます。これだけの負担が2014年4月から始まるのです。それを考えれば、多少景気がよくなってボーナスが増えたからといって浮かれているわけにはいかないです。
さらに、負担増がこれで終わるとは考えられないです。
日本の財政難を考えれば、消費税を10%に上げたぐらいではすまないはずで、消費税率20%という日が来ても決しておかしくはないです。
また、一度は棚上げになった公的年金支給開始年齢の引き上げ議論も復活するでしょう。現在、公的年金を受け取るのは65歳からですが、70歳からに引き上げられることも視野に入れておいたほうがいいです。
これだけ厳しい未来が待ち構えていることを知れば、年収が多少高いからといって贅沢をしている場合ではないことがよくわかるでしょう。
何も知らなければ、近い将来「なぜこんなに家計が苦しいのか」と思うはずです。
知っていても何もしなければ、「思った通り家計が苦しい」となるだけです。
厳しい現実が必ずやってくるとわかっていれば、それまでに家計を守るための対策を立てることができます。
家計を引き締めて少しでも貯蓄できる体制をつくることを今すぐ始めるべきです。「それではつまらない」と思うかもしれませんが、お金を貯めるのに特別なワザはないです。地道な努力を積み重ねるのが最良の方法なのです。
もう一つ、収入を得る道を増やすという方法も有効です。サラリーマン家庭で最も身近で効果的な手段は、妻が収入を得ます、または増やすことでしょう。月に5万円でも収入が増えれば、増税と社会保険料による負担増をカバーしておつりがきました。
家計を守るためには、もうのんびりしている時間はないです。