資産運用の目的は次の2種類に分かれています。

1 資産形成(お金を増やすこと)
2 資産保全(お金を減らさないこと)
 つまり、お金を増やしたいのに資産保全を続けたり、逆にお金を減らしたくないのにお金を増やす方法を選んだりしては、望む結果に結びつきません。自分の目的に合った方法を選ぶことが大切なのです。
 また、個人の置かれた状況によっても、とるべき選択は大きく異なります。たとえば、まだ28歳で、新居の頭金をつくりたいという人と、迫り来る老後に備えて急いで資金をつくらなければいけないという58歳の人が、同じ運用方法を選ぶということはないでしょう。
 ほかにも、ローンのないマイホームを持っている人、住宅ローンが20年以上残っている人、賃貸暮らしを続けてきた人によっても方法は異なります。また、サラリーマンか、自営業か、あるいは家族構成などによっても、これから必要となるお金は違うし、さらに現在の資産の状況など、人によっても経済状況はさまざまです。
 資産運用には多くの方法がありますが、絶対王道の、誰がやってもベストな選択というものは残念ながらありません。
 そのかわりに、自分の状況と目的に合った正しい運用方法はあるのです。

 

 

そもそも、資産運用の「資産」とは?

 これから資産運用について学ぶ前に、「資産」と「運用」という言葉の正確な意味を理解しておきましょう。
 まず「資産」とは、(売ったら)お金に変わるものです。もう少し難しい言葉でいうと、個人や企業が所有する、経済的に金銭価値のあるもののことです。
 たとえばどのようなものがあるかというと、現金や貯金のほかに株式、債券などの有価証券。所有する不動産や車なども資産にあたります。
 あなたが銀行に10万円を預金していればそれも資産ですし、車を持っていればそれも資産となるわけです。洋服も、売れるものなら資産になります。
「運用」とは、そのものの持つ機能を活かして用いること。持っている資産の特徴を理解し、その価値を増やすことです。
 たとえば、5万円で株式を購入して、その分配金や売却益を得ることが「運用」です。
安全な資産運用のための3つのポイントとは?
 日本では、「投資」としての資産運用を行っている人はごく少数です。日本証券業協会によるアンケート調査(平成27年)によると、預貯金以外の金融資産を有している人は、わずか約20%。世界的に見てもとても少ない比率なので、みなさんの周りでも少ないのではないでしょうか?
 ではなぜ、少ないのか――その理由の1つは、「投資は危ない」「ギャンブルのようにお金を失うかもしれない」という考え方が浸透しているからです。
 なぜそう考えるのか。答えは明快です。投資で失敗した人は実体験から「投資は危険だ」と言う一方で、資産運用でうまくいっている人は妬まれるのを避けるため、うまくいっていることを他人に言わないからです。
 このような状況では、「危険だ」という先入観だけが残り、貯金があってもそれを投資しようとは思わないのでしょう。
 ですが、実際に試したわけでもないのに、先入観や偏った意見だけを鵜呑みにして何もしないのは大きな機会損失と言わざるを得ません。
 資産運用だけに限りませんが、「何もしないでいる」「傍観者でいる」という選択肢は、人生の可能性をせばめてしまい、非常にもったいないことなのです。
 もし、「危険だ、不安だ」と思うなら、なぜ危険だと思うのか、どうすれば不安やリスクを減らせるのか、どうすればうまくいくのか。それをこの本では、一緒に考えていきたいと思います。
 実は、この「考える」という作業がポイントです。自分の頭で考えることで、ベストなものを探すことはもちろん、考えた結果の成功も失敗も、自分自身の糧となるからです。
 幸い、資産運用には株式、債券、投資信託、不動産、金、為替取引……など数多くの種類があります。そのなかから、いろいろな方法を小さく試してみて、その特性を理解すると、自分の経済状況や年齢、性格に合ったものを選べるようになります。
 もちろん、小さく試してみて合わなければ、その時点でやめてもいいのです。小さい子どもの習い事と似ています。何が得意かわからないときは、野球やサッカー、水泳、ピアノ、ゴルフなど、いろいろ試したうえで得意分野を見つけます。資産運用もそれと同じです。
 何よりも、いろいろ試して得意分野が見つかると、結果が出るようになります。つまり、運用によって実際にお金が増えていくため、自信を持って前向きに投資にのぞめるようになるのです。